1. 事業資金(お金)の生産性

一般に生産性は「生産性=得られた付加価値÷投入した経営資源」で与えられます。経営資源としてよく言われるのは、

ヒト・モノ・カネ・情報の4つです。このうちヒトは労働力、モノは機械などの生産設備や店舗など販売施設・・・ほかにいろいろあるでしょう。情報は生産技術、ノウハウ、販売の知恵、社内ルールなど社内にあるあらゆる知的資産を指します。ヒトもモノも情報も会社が付加価値を生み出すため、具体的にそれぞれの機能を発揮するイメージがわきます。

しかし、カネはどうでしょう。

カネはとうもそれ自体が付加価値を生み出す機能を発揮するようには見えません。「投入した経営資源」とは言いにくいのです。ではカネは何なのでしょうか。カネは投入する経営資源を手に入れる資金として捉えるといいでしょう。つまりカネは、それ自体は付加価値を生み出す働きはしないが、付加価値を生み出す経営資源を手に入れるために使うものであると理解するのです。

実はこの点をよく理解しておくことが事業資金調達においてとても大事です。事業資金調達においては、そのカネ、つまり資金でどの経営資源を手に入れるかというお金の使い道、つまり資金使途を明確に持つ必要があるからです。

2. お金の使い道は大事(銀行はまず資金使途をきいてくる)

お金を借りに行くと、最初に「そのお金、何に使うのですか?」と銀行担当者にきかれます。「そのお金でどんな経営資源を手に入れて、そのお金以上の付加価値を得ることができるか」が気になるからです。これが上で述べた資金使途です。

身近な例でみてみましょう。

お母さんと子供の会話、その1

子供 :お小遣いちょうだい

お母さん : いったい何につかうの?

子供 :お金が欲しいだけ

お母さん :そんなんじゃ、やらない

だかお金が欲しいだけじゃお小遣い上げる気になれないけど、下の会話ならどうでしょう。

お母さんと子供の会話、その2

子供 :お小遣いちょうだい

お母さん : いったい何につかうの?

子供  : 夏休みの自由研究で実験道具を買いたいから

こんな風にいわれたらどうです?

お母さんは、思わず 「そうなの、頑張って。将来偉くなってお母さんを楽にしてね(涙)・・・」

銀行も同じです。借り手の信用リスク審査の第1はなんといっても資金使途です。

3.  必要額を特定できていることも大事

それともう一つ大事なことがあります。いくら要るかを明らかにしておくことです。どんな経営資源を手に入れるかが決まっていれば必要な金額も決まっているはずです。例えば、工作機械を更新したい・・・・と、購入する工作機械が決まっているなら購入費用が決まっているでしょう。運転資金でも同じです。仕入資金に使うというように使い道が決まっているなら、その商品を例えば100個仕入れる費用・・・・、或いは社員を採用するためというように使い道が決まっているなら、1人当たりの給与金額かける○○人・・・という具合に費用が決まります。

そこで、さっきの親子の会話の続き

お母さん  : それでその自由研究の実験道具にいくら要るの?

ときかれ、 子供が「うん、多ければ多いほどいいよ」と答えたらどう思いますか。

「こい、本当に実験道具買うのか・・・・と、疑ってしまうでしょう。

銀行も同じです。借りに行って「いくら要りますか」ときかれて「貸してくれるならいくらでも」はダメです。

「資金使途」と「金額」をはっきり言えるようにしておきましょう。事業資金調達の要諦です。

金森 亨 中小企業診断士

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